研究開発

なぜ今、大麦なのか

 日本人は長い間、主食として大麦を食べてきており、しかしながら、つい50年ほど前より大麦をほとんど食べなくなりました。その結果、健康維持に必要な「水溶性食物繊維=β-グルカン」の極端な欠乏状態になり、大麦の摂取の激減と生産量の減少に反比例し生活習慣病が増加したことが下のグラフをみるとわかります。

グラフ

「β-グルカン」が生活習慣病予防の切り札

 「水溶性食物繊維=β-グルカン」の欠乏状態が、国民病とまで言われるようになった生活習慣病の大きな原因になっていることがわかり「水溶性食物繊維=β-グルカン」を摂取することで、生活習慣病を予防することができることが国内・外で評価されています。

主な健康機能

・冠状動脈心疾患のリスク低減 (必要量:1食あたり0.75g以上/1日3g)
・コレステロール低下による、心臓疾患のリスク軽減 (必要量:1日3g以上)
・食後血糖値の上昇抑制 (必要量:1食の糖質30gあたり4g以上)
・排便促進効果 (必要量:1日3g以上)
・正常な腸機能の維持 (必要量:食物繊維として1日25~30g)

「おいしい・大麦粉」の開発

 大麦の年間摂取量が激減した、その要因は白米の普及によって麦飯が敬遠されるようになったこと、食の西洋化に伴いパンなどの「美味しい小麦食品」の普及が、大麦摂取の激減に拍車をかけたと思われます。

 そのことから、小麦粉のように使いやすくて、「おいしい・大麦粉」で「おいしい・大麦粉食品」が開発されてこなかったことが、大麦の摂取量と栽培量の激減の要因のひとつになっていると考えられます。

 当協議会では、各企業様と連携し経済的であり、パンや麺に適した滑らかな「機能性大麦粉(ソフト大麦粉)」およびさらに微細な「機能性大麦粉(スーパーソフト大麦粉)」の開発に取り組んでおります。

 この取組は、フード・アクション・ニッポンアワード2012 「研究開発・新技術部門」最優秀賞を受賞いたしました。

■受賞

FAN AWARD

・フード・アクション・ニッポンアワード2012

「研究開発・新技術部門」最優秀賞

 プロジェクト: 汎用性の高い「機能性大麦粉」の開発
 受 賞 者: 国立大学法人埼玉大学
理工学研究科 教授 円谷陽一
教育学部 教授 川嶋かほる
オープンイノベーションセンター 特命教授 東海林義和

■出願特許

「穀物紛体及び応用食品」

・特公2012-90581

・PCT国際特許 JP2011/74539

・埼玉大学出願特許 発明者:円谷陽一 / 川嶋かほる / 東海林和義

埼玉県産 もち性・二条大麦 もっちりぼし

はだか麦

はだか麦

米粒麦(べいりゅうばく)

米粒麦(べいりゅうばく)

ソフト大麦粉(そふとおおむぎこ)

ソフト大麦粉(そふとおおむぎこ)

*埼玉県の登録品種の「もっちりぼし」は、サッポロビールで13年間かけて開発された、β-グルカンが豊富な、もち性二条大麦です。

大麦をおいしく活用するために。

 日本人の食事摂取基準(厚生労働省・2010年版)では、健康維持に必要な食物繊維の1日の目標量は、18歳以上の男性で19g以上、女性では17g以上とされています。

大麦粒・大麦粉の量に換算すると、1人1日に30g~60gになります。

  1/4CUP(50ml) 1/2CUP(100ml) 1CUP(200ml)
大麦粉 約20g 約40g 約80g
米粒麦/はだか麦 約40g 約80g 約160g